【イントレピッド海上航空宇宙博物館】第二次世界大戦にも使われた航空母艦が博物館に!

ニューヨーク

日本の神風特攻隊とも関わりのある航空母艦「イントレピッド」がそのまま博物館として使われているイントレピッド海上航空宇宙博物館。その名の通り、海・空・宇宙についてさまざまな視点から学べる興味深い博物館です。

イントレピッド海上航空宇宙博物館(Intrepid Sea, Air & Space Museum)

イントレピッド海上航空宇宙博物館は、ニューヨーク・マンハッタンのウエストサイドにある博物館です。第二次世界大戦中に日本との戦争にも使われたアメリカの航空母艦「イントレピッド」が博物館になっています。

イントレピッドは第二次世界大戦の太平洋戦争や冷戦時代のベトナム戦争に参加しただけでなく、マーキュリー計画やジェミニ計画で宇宙船の回収母艦も務めました。そのため、戦争や航空機・空母に関する展示はもちろん、宇宙計画に関する展示も多数あります。

実際に使われた航空母艦そのものが博物館になっているとは驚きですね!

イントレピッド海上航空宇宙博物館の様子

予約

イントレピッド海上航空宇宙博物館のチケットはウェブサイトで購入できます。また、現地についてからチケットを購入することもできます。

入館料は33ドルですが、ニューヨーク在住の場合は、住所を証明する名前が書かれたものとパスポートを窓口で提示すると半額で入館することができます。

また、ニューヨーク公共図書館の図書カードを持っている方は、カルチャーパスを利用すれば年に1回まで無料で入館することができます。

アクセス

イントレピッド海上航空宇宙博物館周辺のヘルズキッチン一帯は地下鉄が通っていません。地下鉄からバスに乗り換えるか歩いていくという選択肢になります。

今回初めてこの周辺に行くため治安がわからないので、初めはM50のバスで行きましたが、M50は本数が少ないので、比較的本数が多いM42のバスで行く方が便利でした。

入館

入館前にまずワクチン接種証明書を提示しました。他国のものでもOKとウェブサイト上にも明記されているので、日本のワクチン接種証明書でもすんなり通ることができました。

入館に際して、事前チケットを購入されている方は並ばずに入れていましたが、当日チケットは平日にもかかわらず列ができていました。

平日なので10分くらい並ぶだけで済みましたが、休日行かれる場合は事前チケットを購入しておいた方がよさそうです。

入館するとすぐに見えてくるのが、博物館になっているイントレピッドです。航空母艦を初めてみたのですが、とても大きくて圧巻でした。

階段かエレベーターを使って、桟橋から母艦に入ることができます。

艦内の様子

ハンガーデック

階段かエレベーターで2階に行くと、空母間内部に入ることができます。入ってすぐに見えてくるのが、第二次世界大戦時のイントレピッドの模型です。

そしてその横には冷戦中のイントレピッドの模型があります。第二次世界大戦中のイントレピッドとの大きな違いは角度のついた甲板で、この形の変更のおかげでパイロットが離着陸しやすくなったそうです。

レゴで作られた40分の1スケールの模型もありました。後ろの写真と見比べてもその精巧さがわかりますね。

近くによって見ると本当に全てレゴのパーツでできています。なんと25万ピースものブロックでできているそうです!

こちらは爆弾を運ぶエレベーターです。爆弾を運ぶ乗組員は227〜1,361kgもある爆弾を運んで、1日12〜16時間も働いていたそうです。

1950〜1960年台にU.S. Navyで使われていた緊急脱出用シートも展示されていました。緊急脱出するときはこのシートごと機体の外に飛び出し、その後パイロットと分離される仕組みになっているそうです。

長旅をするイントレピッド内では普通の生活が送れるように色々な部門があったそうで、こちらは歯の治療用の椅子です。言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、空母艦の中に歯科医があるというのは想像もしていなかったので驚きました。

こちらは船から船へと人が移動するときに使われていた椅子だそうです。この椅子に座りロープを伝って別の船へ移動していたようです。

他にもパイロットが出撃を待つ部屋にあった椅子なども展示されていました。椅子からも当時の様子が窺い知れるのは興味深いですね。

休憩時間にはこの展示がされているハンガーデックで映画を見たりもしたそうです。今自分がいるその場所にその時の人たちがいたというのは不思議な感覚でした。船に乗っている間にサンクスギビングなどのお祝いの日を迎えることもあり、その際には特別な食事なども出たそうです。

ハンガーデックの中央部にはさまざまな種類の航空機も展示されています。

こちらは第二次世界大戦で使われたTBM-3E AVENGER。

航空母艦の格納庫や飛行甲板に駐機するために主翼が折り畳めるようになっているそうです。

こちらはFJ-3フューリー。現存する機体を見られるのは貴重ですね。

こちらは海軍で使われたヘリコプター、HUP-2レトリバーです。

操縦席の様子が見えるくらい近くで見られます。

こちらの球体は、爆撃機に搭載された銃塔ボールターレットです。展示されているボールターレットは、複数の機体からのパーツを合わせて作り直されたものだそうです。

神風特攻隊についての展示もありました。1944〜1945年の間4回に渡りイントレピッドも神風の攻撃を受けていて、アメリカに戻って修理をしなくてはならない程のダメージを受けたこともあるそうです。

茨城県にある予科練平和記念館で見た予科練の歴史を思い出しました。予科練とは海軍飛行予科練生の略称で、大日本帝国海軍の航空兵養成制度の1つです。14歳半から17歳までの少年が航空機の搭乗員の訓練を受けました。後に神風特攻隊を命ぜられた少年も多かったそうです。

日本とも関係の深い航空母艦の中に今いるということに、言葉では表せない不思議な感覚になりました。

ハンガーデックの奥には、イントレピッドや潜水艦の内部などを再現したエリアがあり、実際に中に入ってどのようなものか見てみることができるので、子供たちにとっても面白いエリアです。

こちらはイントレピッドの甲板にある艦橋内の司令塔を再現したブースです。

ここから飛行機の離着陸や船の進行状況を見ながら指令を出していたそうです。

この司令塔の実物も後ほど紹介するフライトデックで見ることができます。

ベトナム戦争や湾岸戦争などで就役した艦上攻撃機イントルーダーのコックピットです。操作板は再現されていませんが、シートに実際に座ってみることができます。

こちらはイントレピッド内のベッドを再現したものです。各ベッドの高さは座ることもできないくらい低く、このベッドで6ヶ月の航海の期間を過ごしたそうです。過酷ですね。

こちらは飛行機を操縦するためにどのような向きの力をコントロールしているかを体感できるシュミレーターのような機械です。

翼にかかる力、飛行機の前後左右にかかる力など、大人でもちょっと難しいですが、ゲーム感覚で飛行機を飛ばせるので子供達に大人気でした。

イントレピッドはジェミニ計画の支援も行っており、1965年3月23日には大西洋上で着水した宇宙船ジェミニ3号の回収をしています。ジェミニ3号はジェミニ初の有人飛行で軌道を3周した宇宙船です。

ジェミニの帰還区域が展示されています。とても狭くて人が乗っていたとは思えず、最初はエンジンか何かかと思ったくらいです。これに乗って人が宇宙から地球に帰還したとは驚きですね。パラシュートで海上に着水した宇宙飛行士2名をピックアップするヘリコプターをイントレピッドが乗せ、さらにこの帰還区域の回収も行なったそうです。

ハンガーデックには潜水艦の内部を再現した空間もあります。

潜水艦のベッドは、造りこそ空母よりしっかりしているものの、高さも低くなかなか大変そうです。

こちらは食事をしたりゲームをしたりして過ごす場所です。

コントロールルームでは、潜水艦といえばの潜望鏡もあります。

潜望鏡を覗くと実際に見ているかのような映像が写っています。

ハンガーデックの一番奥には別途料金を支払って体験できる4Dシアターとシュミレーターがあります。

4Dシアターではイントレピッドの物語を4Dで見ることをできます。

また、シミュレーターでは2人乗りのコックピットで超音速ジェット機の飛行が体感できます。

イントレピッドにはシミュレーターや4Dシアターなど、航空母艦、戦闘機、宇宙計画について体感できるアトラクションが複数あります。子供でもある程度の身長があれば乗れるので、親子で体験してみるのも楽しいのではないでしょうか。

航空母艦外部

2階のハンガーデックから甲板にあるフライトデックまで行く際には、航空母艦の外部を間近に見ることができます。

敵の戦闘機を撃ち落とすための鉄砲が配置されています。

大きさや形が異なり弾丸の飛距離も違うそうです。

こちらは第二次世界大戦で最もよく使われたタイプのものだそうです。

フライトデック

フライトデックにはさまざまな種類の戦闘機やヘリコプターが展示されています。

フライトデックは外なので、博物館に行くのは天気の良い日がおすすめです。

現地の小学生が課外学習に来ていて、飛行機とヘリコプターの離陸の仕方の違いなどの説明を受けていました。

こちらはF-8K CRUSADERで、イントレピッドから飛んだ戦闘機の中で最も速いものだそうです。ベトナム戦争中MiGを撃墜したF-8搭乗員Nargiのクルセーダーを再現してペイントしています。

フライトデックには艦橋があり、中に入ることができます。

実際の艦橋内の階段はとても急です。

艦橋で指示を出す役割の方は必要な時にすぐに任務につけるように、艦橋内にベッドがあったそうです。

当時を再現した机もあります。

こちらはハンガーデックでも再現されていた場所で、船長の椅子です。

実際に近い目線からの景色を見られるのは貴重ですね。

限られたスペースにあるため階段がとても急なので、小さい子がいると艦橋内を見るのは少し大変かもしれません。

スペースシャトルパビリオン

フライトデックにはスペースシャトルパビリオンがあります。別途ゲートがありますが、追加料金不要で入ることができます。

パビリオンに入ったところでは記念撮影をしました。「あとでよければ買ってね」という日本でもよくある形式です。

奥に入るとパビリオン内いっぱいにスペースシャトルが展示されています。階段でこんな目線の高さまで登って機体全体を見ることができます。

このスペースシャトルなんとエンタープライズだそうです!滑空実験機で宇宙には行っていないそうですが、スペースシャトルの歴史の初号機を見られるなんて凄いですね。

実際にケネディスペースセンターで実験をした時の写真もありました。

とても大きいので、博物館まで機体を運んでくるのには大変な苦労があったそうです。スペースシャトルを下から間近に見る経験はそうそうできませんね。

スペースシャトル内のコックピットの機器です。

パビリオンには宇宙に関連したグッズが売られているショップもありました。

潜水艦グロウラー

イントレピッドの艦内から出た場所に潜水艦グロウラーがあります。こちらはアメリカのミサイル潜水艦として唯一一般公開されているものです。

ハンガーデックで模型を見たものを実際の潜水艦の中に入ってみることができます。内部に入る人数に制限があるので、平日でも内部に入るための列ができていました。

ブリティッシュエアウェイズ・コンコルド

コンコルドは、ニューヨークーロンドン間をわずか2時間52分59秒という脅威のスピードで飛んだ超音速旅客機です。その速度なんと約時速2,160kmだそうです!

2003年にコンコルドの営業飛行は終了してしまいましたが、そのうちの1機がイントレピッド博物館に展示されていて、その下にカフェがあります。

ミュージアムショップ

出口にはグッズが売られているショップがあります。

子供向けのフライトジャケットなど珍しくてかわいいグッズもあり、色々買いたくなってしまうショップです。

バースデーパーティ・オーバーナイト

アメリカでは子供のお誕生日にクラスの子たちを呼んでバースデーパーティをする習慣があります。コロナの影響で最近は自宅でのバースデーパーティは行われなくなりましたが、休日にはセントラルパークなどでバースデーパーティをしている様子をよく見かけます。

中には博物館などの特別な場所でパーティをする子もいるそうで、イントレピッド海上航空宇宙博物館でもバースデーパーティのプランがあります。30人2時間で960〜1,950ドルととても高額ですが、こんな特別なバースデーパーティに呼ばれたら子供たちは大喜びでしょうね。

また、オーバーナイトと言って博物館にお泊まりすることもできます。夕食・スナック・朝食付き、シミュレーター乗り放題などの特典がついて1人99〜130ドルです。ニューヨークにいるうちに体験してみたいけれど、下の子がまだ小さいのでちょと厳しいかな。。。とても興味があるプランです!

まとめ

イントレピッド海上航空宇宙博物館は、航空母艦そのものが博物館になっている見どころ満載の魅力的な博物館です。その名の通り、海・空・宇宙に関連する貴重な展示から戦争や宇宙開発について学ぶことができます。

体感できる展示も多くあるので、飛行機や船が好きなお子さんはもちろん、そうでない子も楽しめる博物館です。多くの種類の戦闘機やスペースシャトルなどワクワクする展示がある一方で、この空母自体が実際にその時戦争の場にいたんだということを実感し、戦争についての新たな学びなどもあり、大人にとっても興味深い経験になると思います。

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