今年は戦後75年を迎えますね。まだまだ戦争について理解するのは難しいだろうと思っていた娘が絵本をきっかけに興味を持ちました。終戦日が近い今、せっかく持った娘の興味を深めたいと思い、茨城の霞ヶ浦にある予科練平和記念館に行ってきました。6歳でどの程度理解できるかについても併せてご紹介したいと思います。
子供の戦争への興味
「ひろしまのピカ」という絵本をきっかけに戦争への興味が出てきた娘。近場で戦争について学べる施設はないかと調べました。
今回は「予科練平和記念館」に行ってきました。
基本情報
場所
茨城県稲敷郡阿見町廻戸5-1
土浦海軍航空隊(現陸上自衛隊武器学校)に隣接する霞ヶ浦平和記念公園内にあります。
営業時間・休館日
午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
月曜日と12月29日~1月3日は休館日です。
入館料
一般(大学生以上):500円
小・中・高生: 300円
未就学児:無料
予科練平和記念館
予科練とは海軍飛行予科練生の略称で、大日本帝国海軍の航空兵養成制度の1つです。14歳半から17歳までの少年が航空機の搭乗員の訓練を受けました。後に神風特攻隊を命ぜられた少年も多かったそうです。
今年で10年目になる予科練平和記念館では、予科練の歴史を学ぶことができます。
エントランス
入り口ではツバメの赤ちゃんたちが出迎えてくれました。癒されます。
入り口では、検温とアルコール消毒をして、来館者の情報を記入しました。
館内の7つのブース
館内は撮影禁止なので、HPから写真をお借りしています。
1. 入隊
入隊の難しさ、入隊する子たちの希望に満ちた姿を窺い知ることができる展示です。入隊するために小学生くらいの小さい頃から訓練を積んでいる様子も記録されていました。
2. 訓練
予科練生たちが勉強した教室や寝起きした兵舎が再現されています。
1日のスケジュールが書かれていたり、飛行機を操縦するための過酷な訓練の様子などを写真や映像で見ることができました。高いところから飛び降りたり、速く泳いだり、回転しても目が回らないように訓練したりととてもハードなものでした。
寝るところも2段ベットのようなものを想像していましたが、所狭しと吊られたハンモックで寝ていたようです。
実際に使われていた道具や衣類なども展示されていて、子供でも興味を持ちやすくてわかりやすい展示でした。
3. 心情
予科練生が家族や友人に宛てて書いた手紙を見ることができます。実際のものとあり、若い子たちがどんな思いで日々過ごしていたのかが伝わってくる展示内容になっています。
子供は漢字もあり読めないので、どんな内容か要約して教えました。飛行機乗りで30歳まで生きられる人はほとんどいなくて、ほとんどが戦死してしまうという内容の手紙に娘はとても驚いていました。
4. 飛翔
予科練生が飛行機に乗れるのはたった1度だったそうです。卒業後さらに厳しい訓練をしながら搭乗員になっていく練習生たちの姿が展示されています。
「女の人は飛行機に乗らなかったの?」という娘の質問の答えになる女性飛行士に関する展示もありました。
5. 交流
厳しい訓練をする予科練生の訓練以外の姿が展示されています。食事の様子や娯楽室の様子などが展示されていて、実際の様子が感じ取れました。
当時の紙幣の展示もあり、「このお金が○個で1円だよ」と娘に教えると驚いていました。展示に「今日は1円を持って、饅頭と○○と〇〇を買って・・・」という言葉が載っていて、1円で贅沢ができたという物価に私自身も驚きました!
戦争に行くのが男の人ばかりなので、娘には「女の人はなぜ戦わなかったの?」という疑問があったようですが、戦時下での女性の仕事に関する展示もありました。
6. 窮迫
土浦海軍航空隊があった阿見も空襲の目標となっていました。昭和20年6月10日の朝起こった空襲を映像で擬似体験することができます。
天井も映像画面になっていて、天井を飛んできた航空機から爆弾が投下される様子が爆音と共に体感できます。また、当時の様子や空襲を体験人たちの体験談も映像で見ることができます。
「夜にフラッシュバックする子もいるようなので小さい子の観覧は親御さんのご判断で」と言われましたが、娘が一番興味がある部分でもあったので一緒に見ました。娘は絵本で読んだ原爆のイメージしかなかったので、たくさんの爆弾が落とされていることに驚いたようです。
7. 特攻
こちらでは特攻についての映像を見ることができます。
特攻は当初志願制で、予科練出身の10代後半から20代前半の子たちで編成されました。海軍の航空機による特攻の死者の7割が予科練出身者だったそうです。希望に満ちて入隊した子たちが、過酷な訓練の末、明るい未来を見ることなく亡くなっていったということに胸が詰まる思いでした。
映像の説明は子供にとっては言葉が難しいので、横で簡単な言葉で補足しながら娘と一緒に見ました。娘は、死を前提とした特攻の攻撃方法がなかなか理解できなかったようで「周りからどう言われても戻ってきたらいいのに」と言っていました。
なかなか当時の思想を理解するのは平和な今を生きる私たちには難しいですよね。何回も説明を聞く姿により戦争に対する興味が深まったと感じました。
映像の最後には、戦後日本が復興していく様子も描かれていました。
「日本はもう戦争はしませんって約束しているんだよね」という娘にそんなことまで知っているのかと驚かされました。まだ戦争は理解できないだろうと思っていた娘が、絵本をきっかけに理解を深めていっている様子に感慨深かったです。
交流企画展
2020年7月現在、交流企画展は「7つのテーマで知るシベリア抑留」です。
シベリア抑留についてわかりやすく展示されています。いかに当時の抑留者が過酷な状況に置かれていたか、抑留が終了した後も帰国がどれだけ大変だったかなどを学ぶことができます。
実際の写真や食事の模型などが置かれていて、簡単な言葉に置き換えてあげれば娘でもどのような様子か理解しやすかったようです。
おむつ替え
多目的トイレでおむつ替えをすることができます。
混雑状況
コロナ対策で、アルコール消毒、連絡先の記入、マスクの着用などの対策に加え、各ブースに1度に入れる人数が5人までと制限されていました。
今回は休日に行きましたが、他に人はいるものの多くはなく、1つのブースで他の人と鉢合わせることもありませんでした。映像ブースも家族だけで貸切で見られるくらいの混雑具合でした。
雄翔館・雄翔園(予科練記念館)
予科練平和記念館からすぐの場所に雄翔館という予科練記念館があります。予科練出身者や遺族などで構成される財団法人が昭和43年に開館して管理されています。
雄翔館は陸上自衛隊に併設されており、雄翔館に向かう途中にはずらっと並んだ戦車を見ることができました。
雄翔館はコンパクトな施設ですが、予科練戦没者の遺書や手紙、当時身につけていたものなど当時を窺い知れる資料が所狭しと展示されています。戦死された方々の写真もたくさん飾られていました。
個人的には、予科練の第1期生として入隊され、15年間もの長い間真珠湾攻撃など数多くの戦いに出向き、終戦の年の1月に戦死されたという方が印象に残りました。
雄翔館の横には、予科練戦没者1万9千人の霊璽簿をおさめた予科練の碑がある雄翔園があります。
霞ヶ浦平和記念公園
予科練平和記念館は霞ヶ浦平和記念公園内にありますが、公園には複合遊具がたくさんあります。今回は雨で遊べませんでしたが、子供連れにはありがたいですね。
天気が良ければ、上の子と記念館をゆっくり見ている間、下の子をここで遊ばせておけるのもいいなと思いました。
零戦も展示されています。ここまで間近で見たことがなかったので、親子ともにテンションが上がりました!意外なほど洗練された見た目に驚きました。
まとめ
そもそもなぜ戦争をするのか、戦争では男の人しか戦わなかったのか、死ぬと分かっているのになぜ特攻に行ったのかなど色々な疑問が次々と出てきた様子の娘。展示や映像を通して理解を深める一方で、さらなる疑問も出てきたようでした。「自分だったらこうするな」という感想も言っていたりと、予想以上に理解できる内容があるんだと感心しました。
家に帰ってからもYou Tubeで戦争の動画を一緒に見ました。
終戦が近いこの時期、戦争について学び、繰り返さないことの大切さを考えるいい機会になっていると思います。まだまだ理解は難しいだろうと思っていた娘に、絵本を紹介してくださった方に感謝です!
子供が予科練について学ぶことができるサイトも予科練平和記念館のHPに載っています。
昔映画館で岡田准一さんが出演された「永遠の0」を見ましたが、予科練平和記念館を訪れた後に向井理さんが出られている「永遠の0」を見ました。映画版より長いストーリーであることや記念館で見た内容も相まって、とても心に響くものがありました。
ニューヨークにあるイントレピッド海上航空宇宙博物館は、神風特攻隊とも関わりのある航空母艦イントレピッドそのものが博物館になっています。戦争に関する展示の中に神風の展示もあり、とても興味深い博物館です。
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