【海外駐在までの準備】必要な手続き「自宅の売却」

海外駐在の準備

海外赴任の帯同に向けて、必要な準備をまとめていきたいと思います。今回は「自宅の売却」についてです。以前「空き家のまま維持」「賃貸」「売却」の3つの選択肢をご紹介しましたが、我が家は「売却」を選択しました。今回6年半ほど住んだ家を、売却開始4日で購入時より9%ほど高い価格で売却することができましたので、実際に売却した時の様子をご紹介します。

その他、海外赴任に際して必要な手続きについては以下にまとめています。

自宅を売却する場合のメリット・デメリット

以前もご紹介しましたが、自宅を売却する場合のメリット・デメリットは以下です。

メリット

  • 家の状態を気にせず過ごせる
  • まとまったお金が入る
  • 本帰国した際に新たに気に入った場所を選んで住める

デメリット

  • 本帰国した際にすぐ気に入った物件があるとは限らない
  • 赴任国の政情や会社の都合で予定外に帰国することになった場合、家がない
  • 赴任前に売却が完了しない場合手続きが面倒になる
  • 売却した翌年には確定申告が必要となる

我が家の場合、帰国後の居住地が確定していないこと、家の状態が気になるので空き家や賃貸にしたくないことから、「売却」をすることにしました。

ただ、住んでいる地域が気に入っているので手放すことは迷いましたし、小さい子供が2人いるので赴任前までに売却が完了しない場合に一時帰国する可能性があることが懸念点でした。

売却開始時期

コピースペースとカレンダーのチューリップの花束

一般的に自宅売却は、不動産会社に媒介依頼をしてから残代金の決済まで早くても2~3ヶ月はかかると言われています。我が家は出国予定のおおよそ2ヶ月前に媒介依頼をしました。

媒介依頼時点では、「家族全員で引っ越す」「先に主人だけ赴任して後から子供たちと私が渡航する」のどちらにするか決まっていませんでした。「家族全員で引っ越す」場合より「先に主人だけ赴任して後から子供たちと私が渡航する」場合の方が2ヶ月ほど引き渡し時期が遅くなるので、両方の可能性を考慮して、「家族全員で引っ越す」場合の日程で手続きが完了することを目指し、「先に主人だけ赴任して後から子供たちと私が渡航する」場合の日程で引き渡し日を設定しました。例えば、引き渡し日は6月以降に設定し、手続きの完了は3月中旬までを目指すという感じです。正直かなり先の引き渡し日になるのに早めに手続きが完了するような時期に購入してくださる方がいるかは不安でしたが。。。

実際の手順

物件の価格査定

複数の不動産会社に、大まかに物件の査定金額を提示してもらいます。立地、築年数、広さなどをもとに簡易に査定をしてもらうことで、売却時の価格の参考になります。

ある程度価格の相場がわかったら、不動産業者に実際に物件を見て詳細な査定をしてもらいます。

不動産会社との媒介契約を結ぶ

不動産会社に委託する場合、1社のみに依頼する「専任媒介」と複数の会社に依頼する「一般媒介」があります。「専任媒介」だと力を入れてくれやすく、「一般媒介」だと広く周知されるので早く売れる可能性が高いと言われています。

我が家は居住地域に強くて実績がしっかりある不動産会社があったので「専任媒介」を選択しました。「専任媒介」でもよく知られている ネット上の不動産サイトに売り出し情報は載るので、その点での情報量の差は懸念しなくて大丈夫だそうです。また、「専任媒介」にしたことで力を入れてくれ、広告を出してくれたりポスティングしてくれたりしました。

「専任媒介」の注意点としては、専任媒介の契約期間中に他社に依頼するなどの違反行為があった場合はペナルティが課されている場合がある点です。これはマナーなので当然と言えば当然ですね。

価格を決め広告を出す

査定をもとに売り出し価格を決めます。査定自体は家に大きな問題がなければさほど差はなく、立地、築年数、広さ、設備などをポイント化して算出していました。

査定で算出された適正価格に近い価格で売り出すほど早めに売れるという説明をグラフで見せていただきました。あとは近隣の売り出し状況と価格を見て最終的な価格を決定しました。

売却依頼から売り出しまでのスケジュール

日付、ビジネスアイテム、アクセサリーのカレンダーの横にある革製のカバーに入れられた高価な個人用日記の男性用腕時計

今回媒介を依頼してから売り出し情報が載るまでのスケジュールは以下でした。

  • 媒介依頼を電話でする
  • (1日目)実際に家を見て査定をする・売り出し金額を決める・説明を受け媒介契約を結ぶ
  • (2日目)売り出し広告の見本で詳細を確認する
  • (3日目)売り出し広告を出す・ポスティングをする

媒介依頼から広告の掲示まで3日間と想像以上に早く対応してくださり驚きました!専任媒介はさすがですね。

内覧に対応する

白いソファとインテリアの空白のフォトフレームリビングルーム。 3dレンダリング。

売り出し広告を出したら、購入予定者の内覧に対応します。

今回運よく2組目の方が購入してくださったので、実際に対応した内覧は3組だけでしたが、内覧のプロセスは居住中かつ子供がいると結構大変だなと思いました。

  • 居住中かつ子供のおもちゃなどもあるので、家に生活感が出てしまう
  • 内覧の時には部屋を片付ける必要があるが、子供がいてバタバタする
  • 内覧希望日が土日に集中するので土日の予定が組めない
  • 下の子のお昼寝リズムと合わないことがある

上記のような理由で、内覧してくださったものの購入に至らなかった時の疲労感がすごかったです。子供も遊びに行けず悲しそうで、これが毎週末ずっと続くと心が折れそうでした。。。今回2組目の方が購入してくださり本当にありがたかったです。

内覧の際のポイント

以前自宅を購入する際に新築以外に中古物件も見たことがあり、その経験からいくつか自分なりに気をつけた方が良いなと思う点がありました。今回2組目で売れたことと関係するかはわかりませんが、参考になるかもしれないのでご紹介いたします。

  • 掃除をする:当たり前ですが、散らかっている家は汚く見えるので綺麗に掃除をします。片付いた部屋は広くも見えるのでここは必須だと思います。棚や引き出しも開ける可能性があるので、きちんと整頓しておきます。
  • 水回りはきれいに保つ:水回りが汚いと家全体の管理への信用がなくなり、住む気が起きなくなるので、お風呂・トイレ・洗面所・キッチンなどは特に気をつけます。
  • 子供のおもちゃを最小限にする:子供のおもちゃがたくさん出ていると散らかって見えるので、ある程度厳選してあとはしまっておくといいと思います。
  • 家の電気を全てつけておく:不動産会社の方にお勧めされたのですが、家の中が最初から明るいと印象が良いそうです。内覧の前に全て電気をつけておきます。
  • カーテンを全て開けておく:部屋が明るく広く見えるので、開けておくといいそうです。ただし窓やベランダの掃除はしっかりと。

自分の経験からも散らかっている家や棚の中や水まわりが汚い家は、見えない部分にもカビやダニなどがいそうで気持ち悪かったので、ちょっとしたことですが重要だと思います。今回内覧してくださった方々も皆さん、お風呂やキッチンの綺麗さを褒めてくださいましたし、確認したいところはどこを開けてもOKですというスタンスは好感触だったようです。

心配していた「引き渡し時期は先だけれど手続きは早めに完了したい」という条件で購入してくださる方がいるかという点ですが、今回内覧してくださった方々は近所の賃貸に住まれている方々でしたので、引き渡し時期が少し先でも大丈夫だったようです。

購入者との売却条件の交渉・契約の締結・手付金の受領

購入者と売却条件の交渉をします。(購入意思決定から約1週間後)

我が家は夫婦の名義なので、主人と私両方の立ち合いが必要です。万が一どちらかが立ち会えない場合は委任状を書くことで対応はできるそうです。

今回は売り出し価格のまま特に条件なしで購入をしてくださったので、価格や設備に関する交渉はありませんでしたが、引き渡し時期や手続きのスケジュールについては事前に確認しておきました。

契約書や家の現状を記した書類を確認し、記名捺印をし、手付金を受け取りました。所要時間はおおよそ1時間くらいでした。

物件の引渡し・残金の決済

契約締結から約3週間で、残代金の決済が行われます。このあたりで物件の引き渡しはも行うので、引越しの予定を鑑みて調整が必要です。

ここまでを出国前に完了できれば、一時帰国も不要なので安心ですね。

その他必要な手続き

管理組合に届出を出す

管理組合を脱退するための届け出が必要になります。

管理組合によって必要書類が異なるので、売却を決めたら事前に管理組合に連絡し、必要な手続きや書類を確認しておきましょう。売却が完了したら管理組合に脱退の手続きを行います。

手続きを忘れてしまうと、管理費などの引き落としが継続してしまうため、忘れないようにしましょう。

金融機関への連絡

上述したように、住宅ローンは自分がその住宅に居住していることが原則なので、住宅を売却する場合には返済の必要があります。

一般的なのは、住宅を売却したお金でローンを全額返済し、抵当権抹消の手続きも行う「同時決済」という方法です。この場合返済の1ヶ月前には金融機関に相談しておき、購入者と決済日の日時の調整ができたら再度金融機関に連絡をして、抵当権抹消に必要な書類を準備してもらいます。

我が家も同時決済を行おうかと思いましたが、出国前でバタバタするのが大変そうなので、事前に一括繰上げ返済を行うことにしました。

我が家がローンを組んでいる銀行は、ネットバンキングで手数料無料で一部繰り上げ返済できるところだったので、1ヶ月分を残して繰り上げ返済をしました。これで翌月残りのローン返済が完了します。銀行に相談した結果、我が家の場合、窓口に行かなくても済み手数料も一番かからないのがこの方法でした。どの方法が一番良いか、一度ローンを組んでいる銀行にご相談されてみてください。

確定申告

自宅を売却したら翌年確定申告をします。利益があった場合納税義務があるためもちろん確定申告をしますが、利益がなかった(損失があった)場合でも特例を利用して譲渡損失を相殺できるので確定申告をした方が良いです。

今回購入時の価格より9%ほど高く売却できました。6年半住んでいる間の減価償却分がありますので、実際確定申告で「利益」とされる部分はさらに多くなります。利益があっても、以下のように「特別控除の特例」があるので、名義人1人あたり3,000万円まで控除されます。手続き必須ですね。

利益があった場合の特例

住宅を売却した際に所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。適用要件を満たしていれば確定申告の際に、必要書類「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を一緒に提出することで適用されます。詳しくは国税庁のHPに載っています。

夫婦で土地と建物をそれぞれ半分ずつ所有している共有名義の場合は、それぞれの譲渡所得に対して特別控除が受けられるので、合計して6,000万円まで控除されます!こちらも国税庁のHPに載っています。

損失があった場合の特例

一定の要件を満たす場合に限り、譲渡をした年に他の所得との損益通算をすることができます。通算を行ってもなお控除しきれない損失がある場合は、譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができます。詳しくは国税庁のHPに載っています。

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