【海外駐在までの準備】必要な手続き「自宅をどうするか」

海外駐在の準備

海外赴任の帯同に向けて、必要な準備をまとめていきたいと思います。今回は「自宅をどうするか」についてです。自宅が持ち家の場合、「空き家のまま維持する」「賃貸にする」「売却する」の3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットと手続きの方法をご紹介します。売却や賃貸の場合は時間もかかるので、家をどうするかについて早めに検討しておくと安心ですね。

その他、海外赴任に際して必要な手続きについては以下にまとめています。

空き家のまま維持する

メリット

  • 一時帰国や本帰国時にすぐ住める家がある
  • 気に入った環境に戻ってこられる安心感がある
  • 物を置いて行ける

デメリット

  • 空き家のままだと傷むので、通風、換気、通水などの管理が必要になる
  • ローンや管理費を払い続ける必要がある
  • 固定資産税がかかる
  • 災害があった場合にすぐ確認・対応できない

留守宅管理サービス

空き家のまま維持する場合、傷まないように親類などに管理をお願いする必要があります。遠方の場合など難しい場合は、長期不在の家を管理してもらう「留守宅管理サービス」を利用するという方法もあります。

賃貸にする

メリット

  • 家賃収入を得ることができる
  • 人が住んでいるので空き家に起こるリスクは回避できる

デメリット

  • 日本国内での不動産所得となり、日本で所得税が課税されるため、毎年確定申告する必要がある
  • 賃貸に出している間は住宅ローン控除が利用できなくる(再びマイホームに戻ったときに控除の適用可能期間が残っていれば、再度適用できます)
  • リフォームやクリーニングをするなど初期経費がかかる
  • 自然損耗や経年劣化に加えて、入居者の使い方によっては家を損耗、損傷される恐れがある
  • 入居者の自殺や火事などに巻き込まれる可能性がある(そんなことある?という感じですが、私の親戚は火事を起こされましたので、ないとは限りません)
  • 自宅に戻りたくても入居者がスムーズに退去してくれるとは限らない
  • 借り手がいなかったり家賃を滞納されたりする可能性もあり、安定して家賃収入が得られるとは限らない
  • ペット飼育などの契約違反行為をされる可能性もある

手順

契約の形態を決める

賃貸に出すだけの一般的な「一般賃貸契約」なのか、修繕の手配や家賃の回収を行ってもらえる「管理委託契約」も結ぶのか、借り手がいない時に家賃収入がなくなるリスクを軽減するためにサブリース会社に貸す「転貸借契約」を結ぶのかなど、契約の形態を決めておきます。

不動産会社に賃料査定を依頼する

「賃料」「敷金」「礼金」を決めます。空室になるリスクを避けるためにも、適正な価格を設定が必要となるので、不動産会社に周辺の賃貸状況から賃料査定をしてもらい、相場を把握して決めます。

不動産会社を選定する

空室期間をできるだけ作らないためには入居者募集を積極的に行ってくれるところ、また、入居者とのトラブルを避けるために入居者審査をしっかりしてくれるところを選ぶと良いようです。万が一契約違反行為や、明け渡し拒否などのトラブルが起きたときのためにも、不動産会社に事前にトラブル時の対応を確認しておいた方が良いです。

不動産会社に依頼して賃貸借契約を締結する場合には不動産会社に仲介手数料の支払が必要となります。

入居者の募集・決定

不動産会社に賃貸募集をしてもらい、入居者審査を経て入居者が決定します。

賃料収入を得る

賃貸収入を得た場合は確定申告が必要になるので、忘れずに申告しましょう。

その他必要な手続き

管理組合に届出を出す

管理組合により必要書類が異なるので、まずは管理組合に賃貸に出す旨を届け出ましょう。

金融機関への報告をする

住宅ローンは、自分がその住宅に居住していることが原則なので、住宅ローンによっては賃貸に出すとローンを継続できなくなることもあります。家を賃貸に出す場合、住宅ローンを借り入れている金融機関に「海外転勤になり居住しなくなるので賃貸に出す」旨を報告して相談しましょう。

届出をしておかないと、ローンの一括返済を請求されたり、返済できない場合は競売にかけられてしまうこともあるようです。

確定申告をする

不動産所得があった場合は、所得のあった翌年に確定申告をする必要があります。

国税庁のHPに、不動産所得や所得の計算方法など、不動産収入がある人向けのページがあります。また、確定申告についての詳細も国税庁のHPにありますので、ご参照ください。

売却する

メリット

  • 家の状態を気にせず過ごせる
  • まとまったお金が入る
  • 本帰国した際に新たに気に入った場所を選んで住める

デメリット

  • 本帰国した際にすぐ気に入った物件があるとは限らない
  • 赴任国の政情や会社の都合で予定外に帰国することになった場合、家がない
  • 赴任前に売却が完了しない場合手続きが面倒になる
  • 売却した翌年には確定申告が必要となる

手順

自宅を売却する場合の大まかな手順は以下です。不動産会社に媒介依頼をしてから残代金の決済まで早くても2~3か月はかかるので、余裕を持って準備をしましょう。

物件の価格査定

複数の不動産会社に、大まかに物件の査定金額を提示してもらいます。立地、築年数、広さなどをもとに簡易に査定をしてもらうことで、売却時の価格の参考になります。

ある程度価格の相場がわかったら、いくつかの不動産業者に実際に物件を見てもらい、詳細な査定をしてもらいます。売却する際には、住宅ローンとの価格差を支払えるかについても検討が必要です。

不動産会社との媒介契約を結ぶ

不動産会社に委託する場合、1社のみに依頼する「専任媒介」と複数の会社に依頼する「一般媒介」があります。「専任媒介」だと力を入れてくれやすく、「一般媒介」だと広く周知されるので早く売れる可能性が高いなど、それぞれメリット・デメリットがあります。

内覧

購入予定者の内覧に対応します。住んでいる間に売却をする場合は、住んでいるところを内覧してもらうことになります。子供のもので家がごちゃごちゃしているので個人的にはこのプロセスが一番悩ましいです。。。

購入者との売却条件の交渉・契約の締結・手付金の受領

購入者と売却条件の交渉をします。交渉がまとまったら契約を締結し手付金を受け取ります。

物件の引渡し・残金の決済

契約締結から約3週間で、残代金の決済が行われます。物件の引き渡しは交渉次第ですが、早くてもこの段階になります。

その他必要な手続き

管理組合に届出を出す

管理組合を脱退するための届け出が必要になります。

管理組合によって必要書類が異なるので、売却を決めたら事前に管理組合に連絡し、必要な手続きや書類を確認しておきましょう。売却が完了したら管理組合に脱退の手続きを行います。

手続きを忘れてしまうと、管理費などの引き落としが継続してしまうため、忘れないようにしましょう。

金融機関への連絡

上述したように、住宅ローンは自分がその住宅に居住していることが原則なので、住宅を売却する場合には返済の必要があります。

返済方法によっても手続きは異なりますが、最も一般的なのは、住宅を売却したお金でローンを全額返済し、抵当権抹消の手続きも行う「同時決済」という方法です。我が家も同時決済を行う予定です。一般的な方法なので、不動産会社や金融機関に同時決済したい旨を伝えれば、手続きの方法を教えてもらえます。余裕を持って返済の1カ月前くらいには連絡をして了承を得ておきましょう。

購入者と決済日の日時の調整ができたら、再度金融機関に連絡をして、抵当権抹消に必要な書類を準備してもらいます。この準備には2週間くらいかかるので早めに連絡をしておくと安心です。

確定申告

自宅を売却したら確定申告をします。利益があった場合納税義務があるためもちろん確定申告をしますが、利益がなかった(損失があった)場合でも特例を利用して譲渡損失を相殺できるので確定申告をした方が良いです。

利益があった場合の特例

住宅を売却した際に所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。適用要件を満たしていれば確定申告の際に、必要書類「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を一緒に提出することで適用されます。詳しくは国税庁のHPに載っています。

夫婦で土地と建物をそれぞれ半分ずつ所有している共有名義の場合は、それぞれの譲渡所得に対して特別控除が受けられるので、合計して6,000万円まで控除されます!こちらも国税庁のHPに載っています。

損失があった場合の特例

一定の要件を満たす場合に限り、譲渡をした年に他の所得との損益通算をすることができます。通算を行ってもなお控除しきれない損失がある場合は、譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができます。詳しくは国税庁のHPに載っています。

海外赴任前に契約が成立しなかった場合

媒介を依頼するときに不動産会社に海外赴任である旨を伝えておき、対応が可能かどうかは確認しておきましょう。赴任後に売却が成立した場合、売買契約の際に一時帰国したり親戚に代理人になってもらうなど面倒になりますので注意が必要です。

まとめ

それぞれにメリット・デメリットがありますが、もし自宅を賃貸に出したり売却する場合はかなり手間や時間を要しますので、早めに検討し、必要な時期が来たら動けるようにしておきたいですね。

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