手ピカジェルが品薄になりキッチン用アルコールを探していた時に見かけた「キッチン用アルコールは濃度が低いからコロナには意味がない」という説。「そうなの！？」と驚いて調べたので、備忘録を兼ねてまとめました。
アルコール濃度による除菌効果の違い
アルコールは病原体の蛋白を変性することによって、菌を殺して除菌します。
なんとなくアルコール濃度が高ければ高いほど効果が高いのではと思ってしまいますが、実は70%くらいの濃度が最も効果的なのです。濃度が80％を超えると逆に効果が低くなっていき、90%を超えるとなんと40%と同等程度の効果しか無くなってしまいます。
手指の除菌をするなら濃度60〜80%の製品を使うのが良いということになります。
ハンドサニタイザー
手ピカジェル
最も有名なハンドサニタイザー「手ピカジェル」。
手指の消毒用に作られているので、アルコール（エタノール）の濃度は76.9〜81.4%としっかり除菌できる濃度になっています。
高濃度のアルコールは手が荒れがちですが、保湿成分のヒアルロン酸配合なので安心して使えますね。
さらにエタノールのpHを酸性にすることでより広範囲のウイルスへの効果が期待できる「手ピカジェルプラス」も販売されています。
キッチン用アルコール
キッチン用アルコールは手ピカジェルに比べてアルコール濃度が低めですが、アルコール以外の成分を配合することにより同等の除菌効果が得られるように工夫されているようです。
除菌効果や手指に使う上での安全性について、各社のホームページの記載をもとにまとめました。
フマキラー キッチン用アルコール除菌スプレー
アルコール濃度
アルコール濃度は約49%で、効果的な濃度より低めです。「99.99％除菌」と書かれているので、てっきり70%くらいだと思い込んでいました。。。
ただし濃度が低いからといって効果がないということではないようです。
除菌効果
「キッチン用アルコールは濃度が低いからコロナには意味がない」という説に対して、フマキラーのホームページでは「『キッチン用エタノール』報道に対する当社見解」として反論をされています。
それによると、新型コロナウイルスと同じ構造を持つネコ腸コロナウイルスへの不活化試験を外部試験機関（一般財団法人北里環境科学センター）にて実施し、その効果を確認しているため、「キッチン用エタノールのコロナウイルスへの効果は科学的に証明されていない」という主張は、この試験結果とは全く相入れないものだということです。
ネコ腸コロナウイルスへの不活化試験の結果はフマキラーのホームページに掲載されており、上記のキッチン用アルコール含め、以下の2製品でも効果が確認できたということです。
アルコール除菌プレミアム ウイルシャット
こちらのアルコール濃度は63％とキッチン用に比べて高めです。
ウイルシャット ノンアルコール除菌プレミアム
こちらはアルコール不使用ですが、除菌・抗菌効果をサポートするアルカリ成分が入っています。
手指への使用
フマキラーが販売している上記3製品について、手指の消毒に使用することについてもホームページに見解が載っており、「手指に使用する商品ではありませんが、商品特性上、手指にかかることも想定し、肌へのやさしさを追求した商品づくりを行っております」とされていました。
除菌効果も確認できており、肌への負担も少ないことがわかりましたが、保湿成分が配合されているわけではないので、その点はハンドクリームを使うなどのケアをしたほうが良さそうですね。
カビキラー キッチン用アルコール除菌スプレー
アルコール濃度
こちらはアルコール濃度について、情報公開はできないとホームページに書いてありました。問い合わせをされた方もいるようですが、60%以下であるとしか答えられないとの回答だったようです。
手ピカジェルに比べて濃度が低いのは確実ですが、キッチン周りを99.99%除菌するとされているので、除菌効果がないとは言えませんね。
除菌効果
SC Johnsonのホームページでは、キッチン周りを99.99%除菌すると書かれています。
コロナウイルスに関しては「薬機法上の承認を受けた製品ではないため除菌効果があるとは言えない」としていますが、「一般的な情報としてアルコールはウイルスに効果があると言われていますので、人が触る物や場所をアルコールで除菌することは、感染を予防する一つの手段として有効と思われます」とも書かれています。
手指への使用
手指への使用に関しても、「人が触る物や場所のお手入れ用として作られたものであり、薬機法上の承認・届け出等はしていないので、手肌への使用を認可された製品ではありません」とされています。また、「直接肌に使うことを念頭に開発されておりませんので、保湿剤等の成分は含まれておりません」ともされています。
食器にかかっても安心な成分でできているので手指に使用できないとは思いませんが、一応注意書きにも「人には使用しない」と書かれていました。
企業としては手指に使用することは推奨できないようですが、どうしても使用する際は保湿を忘れずにしたいですね。
まとめ
フマキラーとSC Johnsonのキッチン用アルコールスプレー。それぞれ内容としては大きな差はありませんが、企業としての立ち位置に違いがあるように感じました。
コロナウイルスに対する効果について、積極的にネコ腸コロナウイルスに対する試験を実施し新型コロナウイルスにも効果が期待できるとしているフマキラーに対して、効果があるかどうかは薬機法上の承認を受けていない以上コメントできないとするSC Johnson。
手指への使用についても、肌に優しい成分を使っているというフマキラーと、薬機法上の手指への使用の承認を得ていないので勧めることはできないというSC Johnson。
何かあった時のことも考えて立ち位置が異なるのでしょうね。
やはり手指の消毒には、手ピカジェルのような専用のものを使用するのが一番だと思われます。キッチン用アルコールにも除菌に効果があるとされているものもあるので、ものの消毒にはキッチン用アルコール、手指には手ピカジェルというように使い分けるのが良いですね。
どうしても困った時にはフマキラーは一応肌に優しいということなので、フマキラーのキッチン用アルコールを使って、しっかりと保湿すると良いのではないでしょうか。
携帯用のハンドソープも手指衛生に役立ちます！
アパレルメーカーからのアルコールジェル販売なども行われているのも助かります。
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