ロウアー・イーストサイドにあるテネメントミュージアムは、さまざまな移民の方が暮らしていたアパートを博物館にして保存している場所です。ガイドツアーでのみ中の様子が見られ、当時の暮らしを知ることができる貴重な機会になっています。今回は平日ということもあり、大人だけで参加しました。
テネメントミュージアム
テネメントミュージアムは、1988年に設立されたロウアー・イーストサイドにある博物館です。1863年から1935年の間に移民の方々が暮らしていたアパートが博物館になっており、ガイドツアーで当時の暮らしを知ることができます。
テネメントミュージアムのガイドツアー
テネメントミュージアムのガイドツアーは複数あり、アパートの中を見学するものやミュージアム周辺を巡るものなど、その内容はさまざまです。国連のガイドツアーなどでは日本語対応しているものもありますが、テネメントミュージアムは英語のみのツアーです。
ツアー内容によって開催時間が決まっているので、事前にウェブから予約しておきます。
テネメントミュージアムのガイドツアーの様子
ミュージアムショップのカウンターで受付を済ませ、ミュージアムショップを見ながらガイドツアー開始時間まで待ちます。私たちは15分ほど前に着きましたが、ミュージアムショップにはさまざまなグッズや本などが取り揃えられているのであっという間にツアーの開始時間になりました。
今回参加したのは、アパートの中を見る「Finding Home」というツアーです。
ミュージアムショップの外に出て、裏手にある入り口から中に入ります。
まずは会議室のような小さい部屋に入り、簡単にツアーの概要を説明してもらいました。その後実際の部屋を見に行くのですが、至る所に当時の様子が感じられました。
例えば、アメリカの壁は日本の壁紙とは異なりペンキを塗り重ねているのですが、一部当時の壁の層まで剥がしてツアー参加者が見られるようにしてありました。
また、当時はトイレが共同だったそうで、廊下にある共同のトイレが当時のまま展示されていました。
テネメントミュージアムは実際に使われていたアパートが博物館になっているのですが、当時このアパートがミュージアムになると決まった時にはまだ5家族が住んでいたそうです。その方々に博物館にしたい旨を交渉し、みなさん他の場所へ移り住まれたそうです。
今回のツアーで見ることができるのは、異なる時代に住んでいた2つの移民の家族のお部屋でした。
初めに紹介されたのが、ヒトラーの迫害から逃れたユダヤ人家族のお部屋でした。その夫婦がそれぞれ既婚者だったそうですが、ホロコーストで出会い、後に結婚しました。その後アメリカに移住し、1950年代にこのアパートに住んでいたそうです。
こちらの家族は娘さんがご健在で、パンデミック前はお話をしに来られていたそうです。
夫の腕には迫害されていた時に掘られた数字があったそうですが、キャンプにいたことを知られたくないため隠していたというエピソードも話されていました。
テネメントミュージアムの近くには昔ユダヤ人の移民の方々が使っていたシナゴーグを博物館にしている建物があり、そちらのエピソードとも繋がってきて興味深かったです。
もう一家族はポーランドから来た移民の家族で、1960年代にこのアパートに住んでいたそうです。
スパイスラックなど当時実際に使っていたものも飾られていたり、昔の写真と比べても再現度の高いお部屋でした。
ガイドツアーは全て英語なので、ところどころわからないところもありましたが、当時の建物の中に再現された部屋を見ながら当時の生活について知ることができるのはとても貴重な機会でした。
日本とは異なり古い建物が多いニューヨークでは築100年以上の建物も珍しくはありませんが、当時の家の中の様子を再現した部屋を見られたり、実在した方々の当時の生活を知ることができるガイドツアーはとても興味深い内容でした。
友人に「テネメントミュージアムがすごく興味深かった。」という話をしたところ、「すごく古い建物でびっくりしたでしょ?でも実はテネメントミュージアムの周りのエリア(チャイナタウン周辺)には、今でもこういった共同トイレの建物が残っていてそこに住んでいる人々もいるんだよ。外から見ると普通のアパートに見えるけど、二重構造になっていて内側は共同トイレがある建物が残っているんだよ。」と教えてくれました。
ツアーはいろいろな種類があって、建物の中の他の場所を見たり周辺の街を散策するものもあるので、ぜひまた違ったものにも参加してみたいです。
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